特養でのたんの吸引等実施上のヒヤリハット等の評価に関する調査研究の結果

平成22年度の厚生労働省老人保健事業推進費等補助事業として、弊社が実施しました事業について、概要をご報告しますとともに報告書等を公開いたします。


最下部のリンクをクリックしてください。報告書等のダウンロードができます。


【テーマ1】
調査研究名「特別養護老人ホームにおけるたんの吸引等実施上のヒヤリハット等の評価に関する調査研究」(平成22年度 老人保健事業推進費等補助金)


【概要】
昨年度の「特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関するモデル事業」では、ヒヤリハット等の発生報告が十分には行われなかったと推測されています。このことから、本調査研究では報告様式の改訂、ヒヤリハット等のレベルを判断する分類内容の提示、実施ガイドラインに対する介護職員の関わる部分でのチェック項目の付加などを行い、発生するヒヤリハット等を把握し報告することを促す対策を施して、改めてヒヤリハット等及びアクシデントの発生の実態把握を行いました。
併せて、ヒヤリハット等及びアクシデントに対するより具体的な活動や対応の状況を把握するため、発生したヒヤリハット等の報告があった施設を中心にヒヤリング調査を行い、同時に、発生報告がなかった施設に対してもアンケートを行って、発生に影響のある要因の実態を探りました。


報告があったヒヤリハット等及びアクシデントのデータを分析したところでは、口腔内吸引、胃ろうによる経管栄養ともに「手技のミス」がもっとも多いのですが、これ以外に多いものとして「体調や状態の観察不足」や「機器・備品の準備や片付け」でのヒヤリハット等が多くなっていることが分かりました。また、口腔内吸引では「口腔内の観察」「吸引時間」でのヒヤリハット等が多く、胃ろうによる経管栄養では「チューブ状態」や「注入中の観察」などでヒヤリハット等が発生していることも分かりました。
ヒヤリング調査や報告がなかった施設へのアンケート結果からは、「以前から緊急時対応などでケアを行ってきた」ため介護職員も習熟しており、ヒヤリハット等の発生が抑えられていると判断している現状がありました。しかし、看護職員が介護職員に対して密度の濃い指導やチェックができていなかったり、データ分析からはベテランの介護職員もケアの手順を飛ばして実施しているなどの様子も明らかになっているように、経験がかえってケアを疎かにしてしまっている可能性があることがうかがえました。また、安全性に関わる専門の委員会などの設置も少なく、体制整備も緒に就いたばかりという状態です。


ヒヤリハット等及びアクシデントの実態を適切に把握し、それをケアの質の向上に活かしていくことは非常に重要な活動です。その第一歩は施設長や上長、指導看護師がヒヤリハット等に対する積極的な取り組みを促す方針の説明と指導を行う、あるいは理解しやすい研修を実施するなどのさまざまな工夫によって、報告しやすい環境づくりや観察力を高める活動を展開することなどです。そして、ヒヤリハット等及びアクシデントのデータ分析結果などを踏まえて、これまで以上にケアの質を高めることが求められます。
本報告書は、別にとりまとめた実施ガイドライン等と併せて、「ヒヤリハット等及びアクシデントに"よく気づき、よく報告する"体制づくり」と「現場での活用」により、より安心、安全な施設づくりとケアの実践につながることを目指してとりまとめました。


【報告書及び参考資料】
報告書
参考資料
実施ガイドライン等


【テーマ2】
調査研究名「介護職員によるたんの吸引等の試行事業の研修のあり方に関する調査研究事業」(平成22年度 老人保健事業推進費等補助金)


【概要】
本調査研究では、「介護職員によるたんの吸引等の試行事業(不特定多数の者対象)」(以下、「試行事業」と記す。)の進捗に合わせて、試行事業の運営支援を行うとともに、研修用講義テキストの作成・編集、指導者講習の開催、試行事業の実施・進捗状況の把握と記録、試行事業における介護職員の実施ケアの評価データの収集・分析、参加関係者へのアンケート調査の実施・分析を行うとともに、委員会を設置して、試行事業において次ステップに進むための判定基準の検討と個々の参加介護職員の進行判定を行った。


1.指導者講習アンケート結果から
〔事前送付テキスト・資料の評価〕〔講習の受講評価〕〔講習の役立ち度〕については、いずれも5~8割と高く、参加者(講師・指導看護師)の評価は概ね良好であった。


2.基本研修アンケート結果から
〔44講義の難易度〕介護職員は全講義で「理解できる」と評価。一方、指導者は講義ごとの評価に大きな差有り。〔テキストの分かり易さ〕介護職員は全講義を「分かり易い」と評価。指導者は講義ごとに差が有り、3講義で「分かりにくい」が3割超。〔44講義の講義時間の適切さ〕介護職員は多くの講義で「適切」、8講義で「長い」が5割超。指導者は13講義で「長い」が5割超。〔教え方の分かり易さ〕介護職員は全講義で「分かり易い」と評価。〔44講義の総合評価〕介護職員は全講義で8割強~9割強が肯定評価。〔「指導者講習」の役立ち度〕指導者の「役立った」は1割弱~4割強で、10講義で「役立たなかった」が5割超と厳しい評価。〔44講義の必要性〕指導者の「必要」は全講義で6割強~10割と高く、25講義では100%必要と回答。一方、2講義は「不要」が3割超と再考を要する結果。


3.実地研修アンケート結果から
〔演習所定回数の適切さ〕介護職員・指導者ともに所定回数は概ね適切と回答。


4.評価①(基本研修の評価)の結果から
〔筆記試験正答率〕平均正答率96.1%。〔ケア実施状況〕参加介護職員全員が全演習を終了。〔指導者評価の傾向〕ケア実施回数の多少は、ケアの種類よりも、演習を行った順番、講師人数・シミュレーター台数・演習時間等の制約等の影響で変化。筆記試験と演習評価結果に相関は認められず。〔次ステップへの進行判定〕委員会での進行判定の結果、介護職員全員が実地研修へと進行。


5.評価②(実地研修の評価)の結果から
〔ケア実施状況〕全体にケア実施対象者の確保が難しく、所定回数終了者は参加者の約23%~約75%に留まった(ケアの種類により差有り)。〔指導者評価の傾向〕ケア実施回と累積成功回数は概ね正比例の関係が見られ、実施回数が増えるほど成功率も高くなる。評価指標として「累積成功率」と「連続3回成功者比率」でケア技術の習熟状況を評価。〔次ステップへの進行判定〕習熟状況データを踏まえ、委員会でケアの種類ごとの判定を行い、ケアの試行への進行可否を決定した。


【報告書】
報告書