【2011年度第2号】伸びる組織のためのJMARマガジン ~年金の支給開始年齢引上げに対応した高齢法改正の動き始まる!~

65歳までの定年延長? 希望者全員の継続雇用?

2013年4月から厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢が引き上げられます。現行のように、定年年齢が60歳のままだと、定年年齢と年金の支給開始年齢との間に空白が生じてしまい、その間、無収入となってしまう者が出でくることが危惧されています。

雇用延長については、2006年4月に改正高年齢者雇用安定法(高齢法)が施行され、段階的に65歳までの「高年齢者雇用確保措置」が事業主に義務付けられました。ただし、継続雇用制度を導入している企業の場合、労使協定により対象者にかかわる選定基準を定めれば、その基準に満たない者を継続雇用しなくてもかまわないことになっています。このため、厚生労働省では、高齢法を改正し、希望者全員が65歳まで働き続けられる枠組みを設けることを検討しています。

厚生労働省内に設けられた「今後の高年齢者雇用に関する研究会」が6月上旬に出した最終報告書では、希望者全員が65歳まで働ける制度が必要であり、対象者を選定するための基準は廃止すべきと提言しています。この提言を踏まえ、今後、労働政策審議会において審議を行い、2012年の通常国会に法案が提出されるスケジュールとなっています。

★「今後の高年齢者雇用に関する研究会」は厚生労働省のHPからご覧いただけます。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001fz36.html

これに対して、日本経団連が7月に意見書「今後の高齢者雇用のあり方について」を公表しました。
日本経団連は大きく、

  1. 現行の高年齢者雇用確保措置の3つの選択肢(「定年年齢の引上げ」「定年制の定めの廃止」「継続雇用制度の導入」)と、そのなかの「継続雇用制度」における対象者に係る基準は今後も維持されるべき
  2. 法定定年年齢の引上げありきの議論を行う状況にない
  3. 現行の同一企業内雇用確保原則を改め、継続雇用における企業内外を通じた雇用確保も法令上の高年齢者雇用確保措置を講じたものとすべき

としています。すなわち、定年年齢の65歳までの引上げの法制化は絶対反対、継続雇用制度の対象者を希望者全員にまで広げることにも反対、その分、子会社間や資本関係のない企業にも転籍等を認め雇用機会の拡大を図れ、といっているのです。

厚生労働省の研究会報告とはかなりの隔たりがありますが、今後の労働政策審議会等の議論により歩み寄りが見られることが想定されます。例えば、継続雇用制度により希望者全員が年金の支給開始年齢までは働けるものの、働き先は自社とは限りません、といったことで最終的には落ち着くのかもしれません。2013年4月に向けた今後の法改正の動向に目が離せません。

(広田 薫)

★「今後の高齢者雇用のあり方について」は日本経団連のHPからご覧いただけます。
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/080.html

WLBと残業削減に関する原稿を寄稿!

web労政時報「ジンジュールセレクト」に主幹研究員広田薫が
「マネジメントの視点からみた ワーク・ライフ・バランス時代の
残業削減とは」好評連載中です!
下記URLにリンクを掲載しておりますので、ぜひご覧ください。
http://jmar-im.com/soshiki/2011/05/webwlb.shtml

書籍のご紹介

今回コラムを記載した研究員の著書をご紹介!

2006年4月施行の改正高年齢者雇用安定法を振り返るために
■「65歳雇用義務化への対応実務」(労政時報3649号)
http://www.jmar.co.jp/job/employment/data/3649.pdf
※発行元の労務行政研究所様のご好意により記事本文をご覧いただけます。

■「義務化!65歳までの雇用延長制度導入と実務」(日本法令刊)5刷出来
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4539719084/250-3206174-5311432
※版元品切れですが、ご希望の方3名に本書をプレゼントいたします。
(なお、当選者の発表は発送をもってかえさせていただきます)
お申し込みは以下のアドレス宛に、貴社名・ご住所・ご氏名を記入いただき、メールをご送付ください。
★メール: hrm@jmar.co.jp

編集後記

最後までご覧頂き、ありがとうございます。初回号は「産みの苦しみ」、第2号は「創業は易く守成は難し」、まさに実感しております。皆様に役立つ知見の提供ができるよう、研究員一同、情報収集に励んで参りますので、引き続き、よろしくお願いいたします。