【2011年度第4号】それでもコンプライアンスと言うためのJMARマガジン -損に固執する-

不祥事の痛いトコロ -損に固執する-

金融投資の損失を隠していたという精密機器の会社の不祥事、私的にカジノで遊ぶための賭け金を関連会社から借用していた経営者の不祥事、連日報道が続いています。100億円、1000億円と一般庶民の金銭感覚を超える金額が紙面に踊り、実感として捉えにくい問題ですが、一度損をした人間が、どうして悪い方向へ呑み込まれていくのか、その心理を考えて見ましょう。

投資やギャンブルの世界だけでなく、損をした人間は、それを埋め合わせよう、取り返そうとします。金銭価値ではなく、私たちの気分に置き換えてみます。悪い出来事があれば、楽しいことや憂さ晴らしをしたいと考えますし、嫌な気分はお金を使ってでも晴らしたいと思うものです。

しかし、よく考えてみると、気分的な損の埋め合わせのために、さらにお金をつぎ込んで金銭的にも損をしているというのは不可解、非合理的なふるまいです。私たちの心理は「傷つき、ストレスを抱え、"自分"という価値が低下している。お金を使ってでも、価値を取り戻さねば。」と考えます。

しかし、"あなた本来"の価値は悪い出来事や、仕事上の失敗から離れたところにあるはずです。確かに反省は必要かもしれませんが両者を結び付けすぎた時、マイナス価値を取り戻すことに「固執」するレベルに入ってしまったと言えます。

古いですが、1985年に「大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件」、米国債取引を12年間無断取引し、970億円の損失を出した事件がありました。当事者は以下のような弁明をしています。

「支店では、既に私がそれまでに稼いだ数万ドルの利益をあてにして仮決算を組んでいたので今さら一取引で全額ふいにしましたとは言えなかった。(略)嘱託という身分でありながら数年の実績で折角ここまで手腕を認められつつあった当時、この一取引の失敗ですべてを反故にすることは是が非でも避けたかった。」

出典:井口俊英「告白」,文春文庫(1999)

このディーラーは、どうして12年間「固執」から抜け出せなかったのか、またどうすれば「固執」から抜け出ることができ
たのでしょうか。ひとつは、上に書いたように、彼が自分の価値と仕事上の成果を結び付けすぎたからでしょう。「君にはもっと別にいいところがある。」と友人や家族がポン、と肩をたたいてくれれば、それで済んだ話かもしれません。

もうひとつは、早い段階で誰かに相談し、ギブアップできなかったからです。彼にとっての、"支店の利益""嘱託の身分"といった無断取引のための言い訳は、このあとも"会社のグローバル化対応の未熟さ"など、どんどん累積していきます。こうした心理的な言い訳が積み重なると、後戻りをすることがさらに難しくなっていくのです。
(1985年には、まだ内部通報制度がなかった時代でしたね。)

優秀な企業ほど成果への"こだわり"を求めていると聞きます。私たちは、その"こだわり"の一方で、損からの「固執」から脱し、損切ってでも、明日から出直す心構えを持てるでしょうか。

(宮川準)

よんたくんに挑戦 -情報管理編-

「よんたくん」は弊社提供の、短時間で取り組むための「四択(よんたく)」のコンプライアンスeラーニングです。主人公のよんたくんが様々な職場の問題に遭遇します。

今回は情報管理編の質問をご紹介しましょう。以下のQ&Aにお答えください。

問題

最近のよんたくんの悩みは、「パスワードが覚えきれない」こと。パソコンを使って仕事をしていると、いろいろな場面でIDやパスワードの入力を求められます。忘れてしまうとシステム部に問い合わせて変更してもらったり、せっかく作成した資料を作り直すはめになったりして面倒なので、忘れないようにするにはどうしたらいいか考えてみました。よんたくんが考えたもののうち、安全な方法はどれでしょうか?

選択肢

A.パソコン画面に付箋で貼っておく
B.メモ帳ソフトでパスワードのリストを作成し、保存しておく
C.家族の誕生日で統一しておく
D.メモを作り、施錠できる自分専用の引出しにしまっておく

解答とその理由を書いて、ご返信を頂いた皆さまから3名の方に粗品をお送りします。さあ、あなたも、よんたくんに挑戦。(以下返信先にメールを下さい。)

ウェブサイトはこちら
http://www.i-studio.co.jp/ja/e-learning/

ご返信先はこちら
メール: hrm@jmar.co.jp

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編集後記

いよいよ12月になります。一年を振り返る時期ですね。私にとっても、震災があり、これまでの生活スタイルや仕事の進め方を考え直すことがたびたびでした。

しかし、考え直したことを実現できたか、と言われると・・・。喉元過ぎれば熱さ忘れる、とならぬよう自戒しながらライトアップの街を歩く日々です。