【2011年度第10号】伸びる組織のためのJMARマガジン ~職場のメンタルヘルス対策、進んでいますか?~

「職場のメンタルヘルス対策」義務化の背景

職場のメンタルヘルスの問題はますます深刻化し、企業の人事担当者にとっては「重要課題」の1つとなっています。労働政策研究・研修機構が平成22年9月に実施した調査(全国約5000事業所が回答)によると、6割弱の事業所で、「メンタルヘルスに問題を抱えている正社員がいる」と回答しており、その人数は3年前と比べても増えているそうです。その一方で、「メンタルヘルス対策に取り組んでいない」事業所が半数近くにのぼるという事実も明らかになりました。

また、精神障害等における労災補償の請求件数・決定件数ともに増加傾向が見られるばかりか、メンタルヘルス不調になった社員が会社の対応や裁判の状況を主観的にブログに書き込み、企業イメージにダメージを与えるようなケースもあります。メンタルヘルス対策を実施しないことによる企業リスクはますます高まっていると言えるでしょう。

そこで、厚生労働省は「職場のメンタルヘルス対策」を義務化する方針を打ち出し、関連した法律が改正される運びとなりました。その内容は、事業者に対し、医師や保健師等による従業員の"メンタルチェック"を義務付けるというものであり、来年度秋にも施行される見込みとなっています。

現在、メンタルヘルス対策が確立している、あるいはメンタルヘルス対策の実務におけるPDCAがうまく回っている企業は、まだまだ少数であり、問題が発生した時に、都度対応をしている企業も多いのです。そのような状況において、"メンタルチェック"が義務化され、果たしてうまくいくのでしょうか?本当に、不調者を早期発見でき、社会復帰に導くことができるのでしょうか?

先述の労働政策研究・研修機構の調査によれば、「職場復帰における支援」や「医療機関を活用した対策の実施」は2割未満の事業所でしか取り組んでいないことが明らかになっています。一度メンタルヘルス不調者が出ると、復職支援や医療機関の活用は避けて通れない道で、また、昨今では不調者の病気が多様化する傾向にあり、いつも同じ方法があてはまるとも限りません。メンタルヘルスは非常にセンシティブな問題であり、"不調者が出たときに慌てて対応し取り返しがつかなくなる"ということにもなりかねないのです!

今後企業に求められる対応とは?

今後ますます深刻化すると思われるメンタルヘルス対策について、企業は何を準備すべきなのでしょうか?
重要なのは、次の2つ。「会社方針の明確化」と「ルールづくり」なのです。

1.会社の方針の明確化

まずは、メンタルヘルス対策の会社方針をトップメッセージとして発信することが重要です。社員全員に周知するためにも、対策を進める際にも、方針があることによって、スムーズに進めることができます。また、厚生労働省の「メンタルヘルス指針」においても、事業者がメンタルヘルス対策の推進にあたって、方針を明示することが重要だとされています。

2.ルールづくり

他の人事制度等と同様、ルールができていれば業務が標準化され、スムーズに進めることができます。不調者が出た場合のフローや復職までのフローが文書化され、各フェーズにおける役割分担が明確になっていれば、都度対応にはなりませんし、スムーズな引き継ぎも可能です。また、多くの企業の就業規則は、精神疾患をあまり想定せず、身体疾患を想定して作成されています。メンタルヘルス不調者の対応については、規則の変更が必要になっているケースも多いため、この「ルールづくり」の意味には、既存のルールを現状に合わせて見直すことも含んでいます。

(馬場 裕子)


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編集後記

早いもので、東日本大震災から1年が経とうとしています。首都直下型地震の発生確率は、今後4年以内で「70%」や「50%以下」など、様々な説が飛び交っています。データを扱う者として、これほど予測値が変動したり誤差があるのは、"予測なんかできない"ことを示しているに他ならないと感じています。

予測値に惑わされずしっかりと備えておくことが、何よりも重要ですね。
失われた多くの尊い命に哀悼の意を捧げるとともに、被災地の皆様が穏やかに過ごせる日々が1日でも早く訪れることを、心よりお祈り申し上げます。H