事例紹介:不二製油株式会社様

当社は、油脂、製菓・製パン、大豆を原料とした食品素材を手がける会社です。お客様とともに食シーンに新たな価値をつくり出しています。2015年に持株会社化によるグループ本社制へ移行し、当社は日本の事業会社として位置づけられています。

従業員満足度調査(ES調査)を始められた経緯や目的をお聞かせください。

これまで働き方改革というテーマに取り組んできましたが、世の中が激変する中、当社の従業員がどのような意識で働いているか知ることの意義は大きいと考えています。かつて、事故が発生したことに端を発して社員のモチベーションが低下し、業績が落ちた時期がありました。その時の経験から、現場の社員一人ひとりのモチベーションを上げるための行動の大切さを痛感しました。

そして、我々はクリエイティブワーク(以下C-WORKと称する)という働き方改革を行っています。この取り組みには、従業員満足度を会社全体で現在の68%から80%以上に引き上げるという高い目標を持っています。それは、決してトップダウンだけで推進するのではなく、現場が納得して、取り組むことを目的としています。

その観点で、従業員満足度調査を通して、現場の声を各部署や属性ごとに、課題をフォーカスして分析することで、社員の仕事に対する考えを把握することに力を入れています。今回の結果では、生産部門は他の部門よりも課題が散見され、女性の管理職の昇進意向にも課題がみられました。

今回の従業員満足度調査は、働き方改革をフォーカスした内容を重視しました。そのため、C-WORKの各取り組みが社員からどのような評価を受けているかを把握することができました。生産部門は、現在政府が進めているホワイトカラーの働き方とは異なるため、今後、段階的に課題に対する取り組みを進めていきたいと思います。

C-WORKは、①人事制度改革、②クリエイティブオフィス(職場環境の整備)、③意識改革、④業務改革の主に4つの柱から構成されており、これらをリンクさせ、改善していきます。そのため、人事部だけではなく、他の部署、現場を巻き込むことが大切だと思います。人事部が制度だけ作っても、現場の実態が反映されていなければ、絵に描いた餅になります。C-WORKには、風土改革のため時間をかけ、継続的な取り組みを推進しています。

その先に、会社が定めた「2030年に向けたありたい姿」があり、根底には、数値目標達成のために従業員の働く基盤を作りたいという経営方針への対応があります。そのため、まず調査やヒアリングを通して、問題点を浮き彫りにし、取り組むべき課題の優先度を明らかにしている段階です。これらの取り組みを推進するために、社長自らがC-WORKの委員長を務めています。また、機能別の体制に組織変更したため、部門を超えた取り組みに関しては、C-WORKのような部門横断組織での横連携を高めています。メンバーには、部長クラスが参画しており、業務改善、会議改善などの分科会では実務レベルのメンバーが活動しています。これらの活動が、多様な意見を吸い上げるための現場の納得感向上にも役立っていると感じています。

調査の委託先として当社を選んでいただいた要因をお聞かせください。

貴社(日本能率協会総合研究所)を選ぶにあたり、これまでの豊富な他社での実績とそれに裏打ちされた信頼感が決め手となりました。

当社でも、アンケートを行ってデータを取るだけならば、システムソフトなどを購入することで対応は可能ですが、貴社のサービスには、自社内調査では把握できない①他社とのデータ比較による自社の立ち位置の把握、②プロの視点での質問項目の設計アドバイス、③具体的な取組みの方向性や施策の提言、などが網羅されている点に魅力を感じています。
そして、当社としての施策を展開する上で、第三者の立場からの客観的な評価にも価値を感じています。今回の従業員満足度調査でも、これらの点で有効性を感じていますので、今後ともご意見等を賜ればと思います。

調査を実施するにあたり、苦労した点があればお聞かせください。

今回の調査は、会社の方針として、ペーパレス化を進めているということもあり、非正規社員を含め全員WEBで実施したのですが、メールアドレスを持たない社員への周知や、未回答者に回答を促すことに注力しました。

回答率を上げるための取り組みとしては、貴社(日本能率協会総合研究所)より提供いただいた組織別の回答率途中報告資料を基に、各組織の管理職から、現場のメンバーに調査への回答に理解・協力してもらえるよう取り組みました。

その他では、従業員満足度調査の結果を社内で共有する際の情報共有に気を遣いました。なぜなら、各部門によって置かれた環境や状況が異なるため、仮に調査結果が芳しくない部門が存在した場合に、当該部門の部門長の取り組み以外にもその要因が存在するからです。

このケースでは、現場の部門長のマネジメントのみが不十分であるということではなく、現場の現状を確認した上で、改善に向けた打ち手を共有することが肝要だと考えております。

調査を実施したことで得られた気づきや効果などをお聞かせください。

今回の調査は、C-WORKがメインテーマということで、ライフワークバランスに関する項目に注目しました。とりわけ、有給休暇の取得に関する項目に改善がみられたことが確認できました。有給休暇取得に関する風土や改善は、業務効率化が図られていないと向上がみられないかと思いますので、今回の調査を通して、客観的に把握できた意義は大きいと感じます。

また、当社の管理職層についても、ライフワークバランスに関する意識の改善も、進んでいることが読み取れました。

これらの結果から、改善に向けた素地が整ってきたという所感を持っております。また、当社を志望する学生さんの中には、志望理由の一つに、面接官や先輩社員の応対などから受ける「会社の雰囲気」を挙げてられる事がありますが、この「雰囲気」を具体的な数値として把握することができるのも、従業員満足度調査を実施しているからこそだと思います。

あわせて、自社の課題や、不満を持つ社員に対して、他社と比べた自社の立ち位置などの調査結果をデータという形で客観的に示すことで、納得感を得やすいという効果もあります。

今後、調査をどのように展開、発展させていきたいかをお聞かせください。

調査により明らかとなった課題に対し、部門を横断して解決に向けた取り組みを進めるとともに、世の中の急速な変化に対応するため、数年前の調査データを活用するのではなく、常に調査を実施して、最新の現場状況の把握を行いたいと思います。それらを施策展開に活用し、試行錯誤することで、働き方改革を進めていきたいと思います。

また、社員各自の価値観を理解することで、ニーズの把握にも取り組みたいと考えています。そこに、貴社(日本能率協会総合研究所)の客観的なデータ分析と解析、専門家の視点からのアドバイスを頂戴することで、調査を通した改善を図りたいと思います。

お客様の会社概要
社名 不二製油株式会社
設立 1950年(昭和25年)10月
※2015年10月よりグループ本社制に移行
資本金 500百万円(2018年2月末現在)
社員数 単体:1,082名、連結:5,092名(2018年3月末現在)
主な事業内容
  1. 油脂事業
  2. 製菓・製パン素材事業
  3. 大豆事業

インタビューご回答者:経営企画室室長 大山元康様、人事部長 黒田啓介様、人事部副部長 平松伸子様、人事部 松村亮佑様。肩書は2018年6月時点。

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