LION特別インタビュー【1】「当事者意識」を育てるために
ライオン株式会社が22回にわたり続ける“コンプライアンス意識調査”の真意(全4回)

本日は、ライオン株式会社 監査部 山内あずさ様 高野友文様にお話をうかがいました。

JMAR

インタビュアー

阿部 展也

株式会社日本能率協会総合研究所 経営・人材戦略研究部

インタビュアー

真鍋 満紀子

株式会社日本能率協会総合研究所 組織・人材戦略研究部 エンゲージメント推進室長


1.コンプライアンス意識調査の多層的な目的と活用方法

JMAR:今回は弊社にお任せいただく2回目の従業員意識調査となりましたが、社内展開などは問題なく進みましたでしょうか?

LION7月中旬に各組織に展開し、順次、組織ごとにフィードバックを進めています。

JMAR:これまで御社では、コンプライアンス意識調査を22回実施されていますが、その目的や活用状況など、お聞かせいただけますか?

LION目的としては、大きく4つあります。
1点目は、弊社の従業員である管理職や非管理職に加えて、臨時雇用など多様な雇用形態の方々も含めたコンプライアンス意識の状態を把握するということです。いわば“健康診断”的な位置づけで行っています。

2点目は、その調査結果を組織単位でフィードバックすることによって、職場環境の課題把握に役立てるということです。各職場の部所長などに対して、情報を提供する手段として使っています。

3点目は、弊社の「企業倫理委員会」という会議体で、今回の調査結果をご報告し、議論を重ねるためです。企業にとってリスク管理は非常に重要なため、そういった潜在リスクの把握と対策に役立てています。

4点目は、弊社では「統合レポート」をWEBで公開しておりまして、そこに今回のような調査データを掲載するという目的です。株主の方々を含めた関係者に対する情報共有の一環として活用しています。

JMAR:御社では、私たちが関わる前にも、すでに20回ほど同様の調査を実施されていたと伺っていますが、同様の目的で一貫して取り組まれていたということでしょうか?

LIONはい、同様の目的で一貫して取り組みを進めました。

JMAR:特に3点目・4点目のような、経営層や株主向けの活用について、具体的な意見や反応はありましたでしょうか?

LIONはい、ございました。意見は大きく分けて2つありました。
1点目は、さまざまなコンプライアンスの問題が昨今取り上げられている中で、潜在リスクを早めに捉えておきたいという経営側の意見です。
2点目は、今年から社外取締役の人数が増え、会社としてガバナンス強化を進めているという背景があります。そうした中で、調査結果はガバナンスに関する意思決定に向けた“情報提供”として活用したいという意見です。

JMAR:今、世の中でもコンプライアンスやガバナンスが非常に重視されていますが、御社としてもその流れをしっかりと受け止めておられるのですね。

LION“早めにリスクをつかんでおく”ことが本当に重要だと改めて感じています。

2.社員意識の変遷と調査改善への問題提起

JMAR:御社ではすでに22回という非常に長い歴史を持つ調査をされていますが、調査を始めた当初から現在にかけて、経営層の捉え方や会社全体としてのコンプライアンスに対する意識の変化などはありましたか?

LION社内でのコンプライアンス意識に関する変化は大きいです。
以前は「コンプライアンス違反の是正」に対する意識が強かったですが、最近では、「コンプライアンス違反をいかに気づけるか」という考え方を強く意識するようになったと感じています。
また、普段からの意識を高めておくことで、小さな誤りが会社にどんな影響を与えるのか、社員一人ひとりが実感してくれることが重要だと思います。
そのため、「コンプライアンスってこういうことだよ」と周知する活動と、調査を通して現場の“コンプライアンス意識の状態”を確認する活動、その両方が大事だと思っています。

JMAR:弊社が調査・報告を行う前までは社員の皆さんはどのような受け止め方でしたか?

LION日本能率協会総合研究所さんによる調査・報告を行うまでは「自部所では問題ないよね」と思っている空気感と、調査・フィードバックのプロセスが少し慣れてしまっていた面がありました。そのため、「これまでのやり方のままでよいのか?」という問題意識がありました。

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