2023年に初めて弊社が調査結果をお出しした際、それまでの調査から活用の仕方や役員報告での反応は変わりましたか?
アリナミン製薬はい、以前は、新会社発足後、間もない時期に、十分な検討ができずに実施したこともあり、経年推移が分析できない単発の結果把握しかできない調査になっていました。
経年推移ってやはり大事です。今年だけじゃなく、前年と比べてどうなのか、施策の成果で良くなったのか、悪化しているのか。そういった分析がきちんとできるのが重要です。
また、以前の調査では専門性という観点では、こちらの細かいニーズに応えきれなかった部分もありましたが、そういった課題を解決するために、日本能率協会総合研究所さんにお願いした経緯があります。
前回(2023年)の初回調査の結果から、最もインパクトがあった部分や予想に反した気付きがあれば教えてください。また、それを受けて24年度にどのような施策を打たれ、結果にどう表れたかも伺いたいです。
アリナミン製薬最初に目が行くのは、カテゴリーの結果が下がったところや低かったところですね。そこを分析する時に設問別、部門別、年齢、役職、雇用形態や採用種別など、属性分析を細かくやっていただいています。
その属性ごとの結果を見ていくと、「その要因は、この属性の問題じゃないか?」という仮説が立ちます。そうすると、おのずと「じゃあ何を改善すればいいのか」が推察できるんです。これが一番大きな気付きです。
全社向けのアクションはほぼ決まってメッセージは出していますが、部門別の具体策はこれから。全社施策についても今後、適切な役職者とさらにコミュニケーションを取っていく段階です。
報告会の中でも「なぜここが下がったのか、低いのか」「どこが課題なのか」を一緒に属性別で見て議論しましたが、その後、部門ごとの視点でフィードバックはされていますか?
アリナミン製薬そこはあえて人事部が積極的に介入することはしていません。あくまで全社レベルで捉えています。
ただ今回、総合満足度のあとに「満足している項目を3つまで」「不満足な項目を3つまで」という深掘り質問を追加したのは良かったですね。満足度の点数だけでは何に満足・不満足なのか分からないので、そこを具体化する質問は非常に役立ちました。
不思議なことに、各カテゴリーの平均はスコアでも他社比較でも高い状態ではあるものの、全体的に少し下がってしまったにも関わらず、総合満足度は上がっていたのですが、その理由を探った時、ヒントになったのが深掘り質問でした。
今回のように深掘り質問があるのとないのとで、やはり見え方は違いますよね。
そうですね。まさにKPIを測る上で動機付け要因と衛生要因を聞けることは大きいです。
例えば、多くの企業は給与についてはあまり踏み込みません。なぜなら統計上の影響度が高くても「じゃあ10%上げましょう」と簡単にはできないですから。
でも御社はそれらも含めて聞いており、さらに他社比較のデータを基にした分析を非常に評価いただいています。それが自社の改善にダイレクトに役立つ形で設問をカスタマイズされているのは、こちらとしても研究冥利に尽きます。
エンゲージメントは既に右肩上がりとのことですが、今後特に注力したい課題を教えてください。
アリナミン製薬これは多くの企業で共通の課題かもしれませんが、まず「上司と部下の対話」です。特に従業員のキャリアや能力開発、モチベーション向上、働く意義や価値観を認識してもらう対話に力を入れたい。
そしてもう一つが「部門間の連携」、さらに「社員同士の円滑なコミュニケーション」です。スコアとしては問題水準には全然達していない、むしろ及第点以上のところもありますが、会社をさらに良くするためにあえて課題として掲げています。
部門間連携は多くの企業様で課題になっております。御社ではどこから手を打たれますか?
アリナミン製薬部門間連携が問題になる理由の一つは「情報量の不一致」や「お互いを知らない」ことによる誤解が起こるという点です。ですから、知り合う機会を増やし、声を掛けやすくする取り組みを色々やっていきたいです。
例えば今までは会議だけだったものを、会議後に懇親会をやるだけでも変わりますよね。それがあるのとないのとで次に会った時に声を掛けるハードルが違う。コロナ後にこうした取り組みがデフォルトでなくなった部分もあるので、復活させていこうと考えています。
悠香悠香は、職場内の人間関係は満足度の一番高い項目でした。一方実態として、例えば部門間調整は上位者が調整判断しないと進まないことも多く、担当者同士では調整が完結しないこともあり、そこを少し仕事の仕組みから変えていこうと思っています。その裏付けとしてこの調査データを活用していこうと思います。
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