LION特別インタビュー【3】「当事者意識」を育てるために
ライオン株式会社が22回にわたり続ける“コンプライアンス意識調査”の真意(全4回)


5.現場に伝わるアウトプットを目指して

JMAR:「調査目的を伝えること」や「結果を分かりやすく伝えること」が難しかったとおっしゃっていましたが、何か具体的にうまくいった例などがあれば、教えていただけますか?

LION今までの調査結果は、グラフの凹凸をただ眺めるだけだったので、自分ごとに落としこむのが難しいといった声も多くありました。
今回のように調査結果の表現方法を変えたことで、集中してもらえるようになったと感じています。

JMAR:私たちも、できるだけ“コンパクトで分かりやすい”形を意識して作っています。“コンパクトにすること”には意味があると感じましたか?

LIONフィードバックしていくなか、コンパクトにすることの効果を強く実感しました。

JMAR:コンプライアンスのフィードバックに関して、“面白くない”“当たり前すぎて響かない”といった声があることがございますが、御社では何か興味を引く工夫などはされていますでしょうか?

LION工夫というより、日本能率協会総合研究所さんから頂いたデータのおかげで、できた部分も大きいです。
スコアが高く問題ないように見える質問に関して、ごく少数ではあるが問題が発生していると感じている人がいると共有することで、自分自身は気付いていないが、会社内では問題が発生している可能性があると気付いてもらえたのが良かったです。

JMAR:実際にフィードバック会も開かれたのでしょうか?

LION全社で一斉には行っておりませんが、組織内で“コンプライアンスフィードバック会”を開催した部門があります。数百人規模の部門でしたが、各部所の傾向や「良かった点」や「改善が必要な点」などを共有し、意識すべきポイントをうまく伝える工夫をしていました。
そのおかげで「自部門でも気をつける必要がある」という空気が自然と出てくるようになりました。

JMAR:自分ごと化”してもらうのが一番難しいところだと思います。そういう意味で、ハラスメントなど分かりやすい話題から入るというのは良いきっかけになると考えられます。

LIONたしかに、そうだと思います。ただ、事務局からフィードバックした際に、アンケートの結果を受け取った部長や職制の方々の反応は、なかなか見えづらいです。
積極的な組織は「こういう施策を行いたい」「新しい研修を行いたい」などの反応があるのですが、反応のない組織がどう捉えているのかまでは見えづらいです。そのため、アンケートの結果に対する反応を知ることができる工夫や良いやり方がないかと考えています。

JMAR:たしかに、もうすでに「フィードバックを届ける」という段階はクリアされているので、次は“それをどう活用していくか”のフェーズに入っていきます。
そこに踏み込むと、事務局としてもかなり大変にはなると思うので、私たちにお手伝いできることがありましたら、ぜひご相談いただければと思います。

6.外の世界を知ることが、経営の健全性を保つ鍵

JMAR:同様の調査を検討されているような他社さまに向けて、何か助言やアドバイスがあれば教えていただけますか?

LION調査に関して3つのポイントがあると考えております。
1点目は、企業経営において非常に重要な「外を知ること」ができる点です。
閉鎖的な視点だけでは「評価がよかったね」「スコアが向上した」で終わってしまいがちです。そうではなく、「外の会社のスコアはどうなのか?」「問題が起きてしまった会社は何が足りなかったのか?」といった視点を得ることが出来ました。

2点目は、社内ではなく、外部からの意見を聞ける点です。
第三者である日本能率協会総合研究所さんから、「ここは弱いです」「ここを改善すれば、もっとよくなります」といった、具体的な指摘をしていただけるのが非常に価値あることだと思っています。
私はあまり褒められることには意味がないと思っているので、「ここが課題です」と言ってもらえる方がありがたいです。

JMAR:調査を通じて、「持ち上げられるよりも、具体的な指摘をしてもらえるほうがありがたい」という点で、外部である弊社の役割に意味があるということですか?

LIONそうです。褒めていただくことがありますが、「まだ改善の余地がある」と思うことがあります。また、そう思っている経営者の方は多いと感じています。
そのため、外部の視点からの具体的な指摘は、非常に大事だと思います。

JMAR:御社のように、すでに高いレベルに達している企業ばかりではなく、まだその段階に至っていない企業もたくさんあります。
そういった会社の場合は、最初にどこから手をつければいいのか分からない、というケースもありますが、御社のように、すでに一定レベルにある企業の場合、さらに“もう一段上に行くためのアドバイス”が求められる段階だと思います。

LION3点目は“調査結果の活用”です。
会社全体としての改善ももちろん必要ですが、組織ごとにそのデータをどう読み取り、どう動いていくかが重要だと思います。
その点で言うと、日本能率協会総合研究所さんが提供してくださるリスク項目や危険率といった指標はとても有効だと感じています。“落とし込み”が十分にできているとは言えないかもしれませんが、今後は、部所長や組織の責任者がそういった情報を踏まえて、どう見るか、どう動くかを考えやすくするための示唆として、非常に助けになっています。

JMAR:調査を始める段階の会社では、「組織別フィードバックはまだ必要ないです」というケースもありますが、御社のお考えでは、「組織別フィードバックも必要である」という意見になりますか?

LION組織の規模はさまざまだと思いますが、「次の一手をどうするか」「ここの指標だけどうしても改善しない」といった再確認の材料になるので、組織別フィードバックは必要だと思います。また、リスク項目や危険率といった指標があるので、様々な組織規模であっても活用できると思います。
そのため、日本能率協会総合研究所さんのコンプライアンス意識調査は、自社の状況と外部の状況を照らし合わせて、社内でもPDCAを回せる、非常によい調査だと思っています。

お気軽にご相談ください

JMARは一般財団法人 日本情報経済社会推進協会 (JIPDEC) より、
プライバシーマークの使用許諾事業者の認定を受けています。