当社は、大和証券グループ本社傘下の証券会社です。「信頼の構築、人材の重視、社会への貢献、健全な利益の確保」という企業理念のもと、有価証券などの売買、金融商品取引業及び付帯事業を行っています。
(本プロジェクトは、コンタクトセンターのみを対象に調査した専門業務特化型のES調査です)
当社のコンタクトセンターの大きなミッションのひとつに、「お客様満足度の高い応対品質の提供」があります。高い応対品質とは、的確な回答ができるよう常に新しい情報をアップデートし続けるということだけでなく、電話という声だけのコミュニケーションからお客様のニーズや本音をくみ取ることなども含まれ、「大和証券のコンタクセンターに聞いてよかった」と思っていただけるよう、日々オペレーターが自身のスキルを向上させるべく、取り組んでいます。
このお客様満足度の向上のためには、まずそれを提供する従業員の満足度の向上が不可欠だと考えています。もともと大和証券では、「すべての従業員がモチベーション高く、イキイキと働き続ける環境づくり」のため、様々な取り組みを行っておりますが、従業員の満足度を向上させるためには、まず従業員の現状を知る必要があると考えました。コンタクトセンターは他の部署に比べ、三拠点(東京・大阪・福岡)に分かれていること、人数が非常に多く、雇用・勤務形態が多岐にわたることなどの特徴があります。仕事・職場に対する思いは人それぞれですから、このような特徴、多様性がある中で、課題を見つけていくには、肌感覚に頼ることは難しい状況にありました。そこで、現状を「見える化」するところから始めようと考え、従業員の気持ち客観的に数値化できるES調査の導入を、昨年度のアクションプランの1つに掲げ、実現に至りました。
委託先の候補は数社程度ございましたが、日本能率協会総合研究所(以下、JMAR)のES調査は、オーダーメイドに近い設計と分析が可能であることが決め手になりました。先ほども申し上げましたが、当社のコンタクトセンターは、東京、大阪、福岡と3拠点あり、総勢600名のオペレーターが在籍しています。それぞれ役割や働き方(雇用形態)も様々なことに加えて、専門用語が多かったり、細かなルールなどが存在することから、汎用的なものでは知りたいことが十分に把握しきれないのではないかと感じました。そのため、質問項目も一から作り上げることができ、様々な角度からの分析も可能で、多岐にわたる働き方が存在する当社のコンタクトセンター部の現状把握にはJMARのES調査がもっとも適していました。
ES調査は、当部において、初の試みとなります。当然それまでまったく経験もなく、すべてが 初めてでしたので、調査項目ひとつとっても、どのような質問をすれば、課題発見に有効な回答が得られるかといった見当もつかず、手探りで進めていかなければならない点に苦労しました。また、社内調整や部内調整などの運営面での苦労もありました。コンタクトセンターは人数が多く、拠点が物理的に分かれているため、ES調査の趣旨や狙いなどを共有することに時間を要しました。自分の回答内容が上司に知られてしまうのではないか、なにか評価に関係するのかなど、不安の声もありましたので、そういった不安や疑問点をひとつずつ説明し、解消することにも時間を要しました。また、お客様からの電話対応に支障がでないよう、業務とのバランスや実施時間の調整等、円滑な調査実施を心がけました。
質問項目の設計においては、実際に電話応対しているオペレーターの上司や、オペレーター経験のある担当者へのヒアリングなども行い、聞くべき視点の洗い出しとともに、分かり易く、伝わりやすいものにするための工夫をいたしました。
昨年は初めての試みだったので、現状をなるべく広範囲に把握したいと、あらゆる側面において細かな点まで調査を実施しました。結果、課題として見えてきた部分、特に注力すべき部分がわかったので、今年度は少し的を絞った内容に変更しました。
今まで主観的ともいえる肌感覚に頼っていたものが、数値化され客観的にみることができたのが非常によかったです。結果として、調査結果と肌感覚が一致していることも多かったのですが、当初想定していた以上に良い結果だったものも少なくありませんでした。元々、職場環境改善、モチベーション向上に向けての取り組みは行っていたため、これらの成果が出ているという認識を持っています。その成果を把握できたことも調査実施のメリットの1つだと思います。
また、特に気づきが大きかったのが、上司と部下の認識のギャップでした。コンタクトセンターでは、SVというオペレーターをまとめるチーム長とMGというチーム長をまとめる管理職が存在します。SVに関しては、オペレーターと普段からチームでコミュニケーションを行っているため、問題となる認識のギャップは見られず、コンタクトセンターの強みを再認識できる結果となりました。一方で、MGは、(SVに比べて)オペレーターが普段接する機会が少ないため、相手にその意図が十分伝わっていない、見えづらいという結果が出ておりました。そのため、この調査結果を受けて、新たにMGとオペレーターの面談機会を増やすなどの施策を講じることにしました。
5年ほど前から営業店の電話対応もコンタクトセンターが担当するようになり、当社の根幹ビジネスである営業部門との関係がより密になりました。そのため、経営層の”大和証券の顔”ともいえるコンタクトセンターへの注目度は高く、従業員のモチベーションへの関心も非常に高まっています。現在は、結果を受けて、協働で実施した人事部とともに経営層の理解・協力を得ながら職場環境の向上に向けた施策の展開をすすめています。
また、評価制度の一層の充実化を求める声も多かったことから、従来の表彰制度に加えて、新たな切り口からの表彰制度の設計を進めるなどの取り組みをすすめています。先ほどのMGの面接機会新設の取組みでは、従来ではカバーしきれなかった点に気付くことができ、その結果、部下が相談しやすい環境が少しずつですが、みられるようになっています。
今後も組織の健康診断のような位置づけで継続実施していきたいと思います。当社は「クオリティNO.1」をかかげ、お客様第一の業務運営の実現に向け取り組んでいます。
冒頭でも述べましたが、コンタクトセンターにとっての経営貢献は、顧客満足度の高い応対品質の提供です。そのためにも、まずはES調査を活用し、従業員満足度の高い職場環境づくりをすすめ、顧客満足度の向上につなげていきたいと考えています。
社名 | 大和証券株式会社 |
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設立 | 1943年(昭和18年)10月 ※1999年4月より国内上場会社初の持ち株会社体制に移行 |
資本金 | 100000百万円(2018年3月末現在) |
社員数 | 単体:9,040名、連結:16,516名(2018年3月末現在) |
主な事業内容 |
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インタビューご回答者:東京コンタクトセンター部オペレーション課 上席課長代理 松澤 彩子さま。肩書は2019年4月時点。
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