<顧客満足度調査>満足度No.1と顧客獲得の関係性が明らかに
「お客様満足度と商品・サービスの選択に関する調査」を発表

近年は商品・サービスの選択の際にWEB等を使って情報を入手し、比較検討することが一般的になっています。
様々な情報が氾濫する中で、ユーザーの利用実感を「満足度の高さ」として訴求することがお客様の維持開拓に有効と考える企業は多く、「お客様満足度No.1」と打ち出す販売促進がよく見られるようになりました。その反面、「満足度No.1でなくなると、お客様が離れていくのではないか」というお悩みもお聞きしています。
しかし、お客様は本当にこうした情報に影響を受けているのでしょうか。今回はBtoB、BtoCあわせて合計23種類の商品・サービスについて、選択の際にこのような情報の影響があったのかを調べてみました。

調査結果のポイント
  1. 商品・サービスを選択する際に第三者の満足度(満足度のランキングや点数)は重視されておらず、自分もしくは自社に適しているかで決められている。
    特に、BtoBでは満足度だけでなく、クチコミや周囲の評価・薦め等、第三者の評判は重視されていない。
  2. 満足度ランキングが認知されている商品・サービスでも、選択の際には満足度が「No.1であること」は重視されていない。
  3. 多くの商品・サービスは、自分自身の満足度が高ければ継続意向は高く、推奨にもつながっている。
調査概要
調査名称
「お客様満足度と商品・サービスの選択に関する調査」~お客様満足度No.1の真実~
調査期間
2018年7月14日~7月16日
調査対象
BtoB、BtoCの2調査ともに、20代~60代の男女3,000人ずつ
※BtoBは「会社員」「会社役員・経営者」のみ
BtoBは、指定した8つの商品・サービスの中に、3年以内に現在の勤務先で、取引先選定や継続可否の決定に自分が関わった商品・サービス」が1つ以上ある方が回答(586人)
BtoCは、指定した15の商品・サービスの中に、「3年以内に、自分が選んで購入した商品・利用したサービス」が1つ以上ある方が回答(1,929人)
調査方法
インターネット調査
企画・実施
株式会社日本能率協会総合研究所(JMAR)
株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)
調査結果
1. 商品・サービスを選択する際に第三者の満足度は重視されておらず、自分・自社に適しているかで決められている。

【BtoB】直近選定時の重視点

【BtoC】直近購入時の重視点 【BtoC】直近利用時の重視点

2.満足度ランキングが認知されている商品・サービスでも、選択の際には満足度が「No.1であること」は重視されていない。

【BtoB】満足度調査の重視状況 【BtoC】満足度調査の重視状況

3.多くの商品・サービスは、自分自身の満足度が高ければ、継続意向や推奨・評価を伝える経験につながっている。

【BtoB】自分が取引先選定に関わった「プリンター・複合機」の継続利用意向 【BtoC】自分で選んで購入した「サプリメント・健康補助食品」の継続利用意向

【BtoB】自分が取引先選定に関わった「プリンター・複合機」の評価や推奨を伝えた経験

調査結果についてのコメント

株式会社日本能率協会総合研究所 CS経営研究室 主幹研究員 田中理恵

今回の調査では、従来から言われていたように、ご自身の高い満足実感は継続意向や推奨につながっていました。
しかし、いずれの商品・サービスを選ぶ際にも、「複数社の中で、満足度がNo.1であること」は、重視されていないことが明らかになりました。

なお、弊社が本調査とは別に行った「第5回お客様満足(CS)向上への取り組み実態調査」では、「様々な欠点を解消」して全てにおいて満足されることを目指す企業が4割近くを占めていました。
(上記調査のレポートダウンロードはこちらから
今までは、こうした取り組みが「お客様満足度No.1」に繋がり、各社が同様に真摯に取り組むことで、様々な商品・サービスの品質向上が進んだと考えられます。しかし、一方で「欠点を改善する」「他社に負けているところを強化する」ことで、業界内で各社の違いがなくなる懸念もあります。
また、上記とは対照的に、同調査の中では「伸ばすべき自社の特長に注力することで喜ばれようとする」志向の企業も見られ、今後はこの割合が変化していく可能性もあります。

今回の調査では、満足度ランキングや第三者の評判等、お客様は様々な情報は参考にしつつも、「満足度No.1」かどうかよりも、その特徴がご自身や自社に適したものを選択していました。つまり、ご自身や自社に適したものとしてお客様に選ばれ、高い満足実感を持っていただくことの継続が長期的な企業成長につながると考えられます。
「満足度No.1」といった好ましい結果は今までの取り組みの成果として称えつつも、「何で選ばれたのか」「何が高い満足実感につながったのか」を真摯に見直し、「今後の高い満足実感」につなげる道筋作りの方が、多くの企業にとってはより重要になっていくと考えられます。

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