2024.07.30
株式会社日本能率協会総合研究所(JMAR、代表取締役社長:譲原 正昭)では、多発する品質不正を防ぐ鍵の一つと考えられる従業員の品質に関する意識と日頃の業務での経験に注目し、その実態を明らかにすることを目的に、第2回「従業員の品質意識」アンケート調査を行いました。
第2回「従業員の品質意識」アンケート調査
※「無料レポート」のご説明の録画視聴となります。
後日、メールで視聴用URLをお送りします。
調査結果のポイント
- 生産・製造・開発部門において、品質に関する内部統制が十分に機能していない
◇最近5年間に勤務先で品質問題が発生した方は、上場企業の生産・製造や開発現場の従業員の6割
◇その多くは「対外的な問題」を体験し、「社内で出荷前に解決した問題」のみの方は4%にすぎず、内部統制が不十分
- 品質規定・基準から外れた業務が見られる等、内部統制の不全が品質問題の再発に影響している
◇生産・製造や開発現場の従業員の15%が、品質規定・基準から外れた業務を目撃したことがある
◇そのうち約6割は、職場で同じ品質問題が再発している
- 品質リスクに繋がる芽が散在しており、内部統制だけでなく、組織風土にも起因している
◇生産・製造や開発現場の従業員の約6割が、日頃から品質問題に繋がりかねない経験を持っている
◇「品質に関する違和感」を感じたことがあるのは4割で、そのうち1/4は報告していない。品質に関する周囲の違和感も指摘しない等、組織風土にも課題が見られる
- 経営陣の品質に関するメッセージは、「問題の防止または低減」の趣旨として受け止められている
◇自社経営陣の品質に関する考えを、生産・製造や開発現場の従業員の約6割は「問題の防止または低減」と認識
◇「高品質企業として競争力向上」との認識は約15%
調査結果についてのコメント
昨今では品質不正が多発し、企業の品質に関する取り組みやそれを支える従業員の意識が注目されるようになりました。
そのため、当社では2022年は上場企業の品質保証部門責任者を対象に、2023年には上場企業の生産・製造や開発現場で働く従業員を対象に調査を行い、2つの調査から品質保証部門責任者と現場の従業員の認識の違いにより適切な施策が行われていない可能性を示唆してまいりました。
(2022年:「ESG時代の日本企業における品質意識とマネジメント」アンケート調査 )
(2023年:「従業員の品質意識」アンケート調査 )
今回は2023年と同様の対象に調査を行い、従業員視点をさらに深掘りすることで、上場企業の生産・製造や開発現場で働く従業員の中には、日頃から職場で品質問題に繋がりかねない経験をしている方が多く、実際の問題発生との関連がうかがえました。また、その背景には内部統制とともに、日頃目には見えにくい組織風土の課題もうかがえました。
中にはこうした課題を解消し、品質問題の防止・低減にとどまらずに競争力を高めるための品質向上に重心を置く企業も見られました。(詳細は当社無料レポート参照)
今回の発表を通じて現場の従業員の意識や経験、組織風土の適切な現状把握が進むとともに、より自社に適した取り組みが増え、日本企業の品質問題未然防止・低減と品質向上による競争力強化に繋がれば幸いです。また、その過程で、品質に関する業務の仕組みや風土が整い、日本企業により良い形で品質文化が根づいていくことを期待しています。
調査概要
- 調査名称
- 第2回「従業員の品質意識」アンケート調査
- 調査対象
- 製造業の上場企業の生産・製造部門または開発部門に勤務する係長、一般社員
- 調査期間
- 2024年6月12日~6月14日
- 調査方法
- インターネット調査
- 企画・実施
- 株式会社日本能率協会総合研究所(JMAR)
調査結果
1.生産・製造・開発部門において、品質に関する内部統制が十分に機能していない
- 最近5年間に勤務先で品質問題が発生した方は、上場企業の生産・製造や開発現場の従業員の6割に達している。
- その多くは「対外的な問題」を体験しており、「社内で出荷前に解決した問題」のみの方は4%にすぎない。
- 品質問題を社内で出荷前に止めきれず、対外的な影響が出ている結果から、内部統制が十分に機能しているとは言い難い。
2.品質規定・基準から外れた業務が見られる等、内部統制の不全が品質問題の再発に影響している
- 職場での「品質規定・基準から外れた業務」の目撃経験について尋ねると、生産・製造や開発現場の従業員の15%が目撃したことがある。
- 職場での「同じ品質問題の再発状況」を目撃経験の有無別に見ると、目撃経験がある方の約6割では職場で再発しており、目撃経験がない方では約5%にとどまっている。
- 上記から、内部統制力が品質問題の再発に影響していることがうかがえる。
3.品質リスクに繋がる芽が散在しており、内部統制だけでなく、組織風土にも起因している
- 日頃の業務の中で、生産・製造や開発現場の従業員の約6割が品質問題に繋がりかねない経験を持っている。
- 「品質に関する違和感」を感じたことがあるのは4割で、その1/4は報告せずにそのまま仕事を進めたことがある。この他、必要な記録・手続きの省略や、周囲の違和感を指摘しない、周囲からのプレッシャーで品質以外を優先する等、品質リスクに繋がる芽が散在している。
- 上記から、内部統制だけでなく、組織風土にも課題があることがうかがえる。
4.経営陣の品質に関するメッセージは、「問題の防止または低減」の趣旨として受け止められている
- 自社経営陣の品質に関する考えを、生産・製造や開発現場の従業員の約6割は問題の防止または低減と認識している。しかし、前述の通り、現状は内部統制や組織風土が良好とは言い難く、目指す防止・低減が実現しきれていないと考えられる。
- 中には「高品質企業として競争力向上」も約15%おり、問題の防止・低減だけでなく、競争力を高めるための品質向上に重点を置く考えだと認識されているケースも見られる。
第2回「従業員の品質意識」アンケート調査
※「無料レポート」のご説明の録画視聴となります。
後日、メールで視聴用URLをお送りします。
関連サービス
「品質意識調査」にご関心をお持ちの方は、以下より詳細をご確認ください。