エンゲージメント経営について解説|意味や自社で実践するメリット・具体的な導入の方法とは?

2025.10.29

近年、市場において注目を集めている経営手法の一つに「エンゲージメント経営」があります。

そこで今回の記事では、国内の民間企業を中心に日本の労働慣行に配慮したエンゲージメントサーベイ(従業員エンゲージメント調査)、ならびにその調査結果を活用した施策のご提案等を行うJMARが、エンゲージメント経営の意味や目的、狙える効果について解説していきます。

また併せて、自社でエンゲージメント経営を実践するための基本的な手順、成功させるためのポイントや注意点も紹介していきますので、エンゲージメント経営に興味があるという人事部の方や経営者の方は、ぜひ参考としてご覧ください。

エンゲージメント経営とは?意味を解説

ビジネスシーンにおいて、エンゲージメントは企業と個人、企業と企業など、自社と関係者との関係性や絆の強さを表す指標として使われます。具体的には従業員エンゲージメント、ワークエンゲージメント、顧客エンゲージメントの3つがあり、それぞれの概要は以下の表の通りです。

従業員エンゲージメントとは 企業や団体等の組織と、そこで働く一人ひとりの従業員(個人)との関係性、また両者間の信頼関係の強さを表す指標のこと。
ワークエンゲージメントとは 企業や団体等の組織そのものではなく、組織から提供される仕事と従業員との関係性や働きがい、つながりの強さを表す指標のこと。
顧客エンゲージメントとは 自社と自社の顧客に当たる企業や団体、または個人との関係性、また信頼関係の強さを表す指標のこと。

エンゲージメント経営とは、上記のうち組織(自社)と一人ひとりの社員との関係性である「従業員エンゲージメント」を重要視した経営手法で、従業員エンゲージメントを向上させるための取り組みを通して、持続的に成長・発展できる企業になることを目指すやり方を言います。

エンゲージメント経営によって期待できるメリット

エンゲージメント経営の成功により、従業員エンゲージメントが高い状態になると、自社に強い誇りや愛着、信頼を感じ、高いモチベーションを持って業務に取り組む社員が増えていきます。

そうなると、一人ひとりの社員が会社が掲げるビジョンやミッションに深く共感し、目標の達成に向けて自発的に行動できるようになるため、組織全体に以下のような良い変化をもたらしてくれるでしょう。

エンゲージメント経営が注目されるようになった背景とは

ここまでに見てきた通り、エンゲージメント経営は従業員エンゲージメントを向上させること、つまり会社から従業員へ人材を大切にする姿勢を見せ、社員から信頼を獲得することができなければ、成功させることはできません。

働く環境や人事制度等を見直し、整えるには、一定のコスト(費用・時間・労力)が必要です。

それでも、近年になってから従業員エンゲージメントのスコアを重視し、エンゲージメント経営に注目する企業が増えてきた背景には、大きく以下の2つの理由があると考えられます。

人的資本開示に対応し、市場における企業価値を高める必要があるから

2018年に国際標準化機構(ISO)が「人的資本開示ガイドラインISO30414」を、また2023年に金融庁が「有価証券報告書の人的資本に関する情報開示の義務化」を発表したことにより、今後は日本でもある程度の規模を持つ企業においては、人的資本情報の開示が義務となります。

【参考】
有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項及び有価証券報告書レビューの実施について(令和5年度):金融庁
ISO 30414:2018 – Human resource management — Guidelines for internal and external human capital reporting

従業員エンゲージメントのスコアを含む人的資本情報は、投資家からは投資先を選ぶ際の基準として、市場や社会からは企業価値を評価するための指標として厳しい目でチェックされます。

つまり、「その企業が自社で働く人を大切にしているか」を測る指標の一つである従業員エンゲージメントのスコアが、企業の社会的な評価に直結すると認識されるようになってきたことを受けて、エンゲージメント経営に注目する企業が増えてきているのです。

労働力人口が減少し、優秀な人材を確保するのが難しくなっているから

近年、日本では少子高齢化の影響を受けて労働力人口の減少が続いています。そのため、必然的に優秀な人材の確保が難しくなり、採用コストが増大していく傾向にあると言えるでしょう。

さらに、労働者が就職先・転職先に求めることや希望する働き方、キャリアの方向性、価値観も多様化が進んでいます。

そのような状況の中で自社における人材の定着率を向上させ、さらに優秀な人材を採用・確保し続けるためにも、従業員エンゲージメントの向上に重きを置いたエンゲージメント経営が必要なのです。

エンゲージメント経営を導入・実践するための3ステップ

ここからは、エンゲージメント経営を自社に導入するための基本的な手順について、紹介していきます。エンゲージメント経営を導入・実践する際の流れは、大まかに以下の3ステップです。

【ステップ1】エンゲージメントサーベイの実施

エンゲージメント経営の成功に向けて従業員エンゲージメントを高めようにも、現状の従業員エンゲージメントスコアがわからなければ、対策のしようがありません。そのためエンゲージメント経営を行うには、まず従業員エンゲージメントを正確に把握しなければならないのです。

まずは各社が提供するエンゲージメントサーベイ(従業員エンゲージメント調査)を実施し、自社と従業員との関係性を可視化・数値化するところから、取り組みを始めてください。

なお日本企業において正確性の高い調査結果を得るには、欧米諸国で一般的に使われている方法ではなく、日本の雇用・労働慣行に配慮したエンゲージサーベイを行うことが望ましいと考えられます。この点も調査の依頼先を選ぶ際の参考として、覚えておくと良いでしょう。

日本型の雇用に対応!JMARの「エンゲージメントサーベイ」の特徴とは?

【ステップ2】調査結果をもとに課題を明確化する

エンゲージメントサーベイの結果、現状における従業員エンゲージメントのスコアが判明したら、スコアを低くする要因となっている問題、そして解決するべき課題を洗い出していきます。

なお、組織にとっての課題は複数になることが多いです。エンゲージメントスコアに大きく影響しそうなものは優先課題と位置付け、解決の優先順位を付けながら洗い出しをしていくと良いでしょう。

【ステップ3】PDCAサイクルを回してスコア改善を目指す

従業員エンゲージメントを向上させるために解決するべき課題、そしてその優先順位が明らかになったら、課題の解決と目標達成に向けた施策を具体化していきます。

あとは、一定期間かけて施策を実行した後、再度エンゲージメントサーベイを実施して効果を測定し、その結果を踏まえて施策をさらに改善・実行するというPDCAサイクルを繰り返して従業員エンゲージメントの向上、及びエンゲージメント経営の成功を目指しましょう。

【事例】
JMARのエンゲージメントサーベイ活用企業様のご紹介

エンゲージメント経営を成功させるためのポイントまとめ

従業員エンゲージメントを高め、エンゲージメント経営を成功させるためのポイントとしては、大きく以下の5点が挙げられます。

経営陣から社員へ、継続的に自社の人材に対する考え方を伝え、経営上の戦略の一つとして従業員エンゲージメントの向上に取り組んでいくことは、エンゲージメント経営の成功を目指す上で非常に効果的です。

また、経営陣から一方的に情報を発信するのではなく、社員から経営陣に対しても意見を伝え、その意見をもとにした制度等をつくる仕組みができれば労働環境や社内の人間関係が改善しやすくなるため、さらなるエンゲージメント向上効果が期待できるでしょう。

エンゲージメント経営を実践する上での注意点は?

対して、エンゲージメント経営を進めていく上で発生しがちなトラブル、問題としては、以下のようなものが挙げられます。こちらも、従業員エンゲージメント低下による生産性・業績の悪化や採用コストの増大、エンゲージメント経営の失敗を避けるために、ひと通りご確認ください。

「日本型雇用対応のエンゲージメントサーベイ」ならJMAR

人的資本開示が義務化された現代において、人事部門はもちろん、経営の観点においても従業員エンゲージメントを調査して可視化することの重要性が非常に高まってきていると言えます。

JMARでは、海外とは異なりメンバーシップ型の雇用を主流とする日本型の労働慣行を鑑みた「日本型の従業員エンゲージメント」を調査するエンゲージメントサーベイを提供しています。

《JMARのエンゲージメントサーベイ5つの特徴》

※日本語だけでなく、さまざまな言語を用いたグローバル調査にも対応しております。

また、人事・組織領域に精通した経験豊富な研究員が、エンゲージメントサーベイで得られた結果に洞察を加え、データから導き出された課題に対して実効性の高い施策を提言するところまで、しっかりと支援いたします。

エンゲージメント強化や人的資本経営に関する悩みを抱えていて、調査から結果の分析、具体的な施策の提案までしてくれるパートナーをお探しのご担当者様は、ぜひJMARまでお問合せください!

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