社員のエンゲージメントが低い企業に見られる特徴とは?考えられる原因や改善策の具体例も解説

2025.11.19


ビジネスシーンにおいて使われるエンゲージメントとは、企業と従業員や投資家といった個人、そして取引先や顧客企業といった法人などとの関係性、またその程度を表す言葉です。

特に、組織とそこで働く従業員との関係性やつながり(従業員が会社に対してどのくらいの愛着や誇りを感じているか)を表す「従業員エンゲージメント」の意味で使われることが多く、近年ではエンゲージメントの高さ・低さが、企業を評価する指標の一つにもなってきています。

それでは、極端にエンゲージメントが低いと、企業にどのような影響が出てくるのでしょうか。

今回は、エンゲージメントが低い企業がどうなってしまうのか、エンゲージメントが低い企業に見られる特徴やその原因、状況改善のためにできる施策例と併せて解説していきます。

エンゲージメントが低いことの何が問題?企業はどうなる?

はじめに、従業員エンゲージメントが高い・低いとは具体的にどのような状態のことを指すのか、それぞれの状態が続くことによるメリット・デメリットと一緒に確認していきましょう。

まず「エンゲージメントが高い状態」とは、従業員が所属企業に強い誇りと愛着、共感を持って働いている状態のことです。エンゲージメントが高い企業では、組織が掲げるビジョンの実現や目標の達成に向けて自発的に働く社員が増えるため、以下のようなメリットを獲得できます。

対して、「エンゲージメントが低い状態」とは、社員が会社への愛着や誇りをあまり持っていない、企業組織と従業員との間に十分な信頼関係が構築されていない状態のことを指します。

エンゲージメントが低い状態が続くと、組織への貢献意欲をもって働く社員が少なくなるため、以下のような負のスパイラルに陥る可能性が高くなります。

従業員エンゲージメントの低下は、人材の定着率や離職率といった人事分野だけでなく、企業の経営全体に悪影響を及ぼす非常に重要な問題だと理解しておかなければなりません。

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従業員エンゲージメントが低い企業に見られる特徴まとめ

企業経営全体にマイナスの影響を与えるエンゲージメントの低下ですが、従業員エンゲージメントが低い企業では、具体的にどのような現象・特徴が見られるようになるのでしょうか。

そこで以下からは、従業員エンゲージメントが低い会社でよく見られる特徴について、それぞれ5つのカテゴリに分けてまとめて紹介していきます。

1. 経営状況やビジョンに対する考え方において見られる特徴

2. コミュニケーションの取り方や組織文化に見られる特徴

3. 人材マネジメントへの考え方、仕組みに見られる特徴

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4. 従業員の職場環境や労働環境に見られる特徴

5. 仕事の内容や進め方に見られる特徴

自社の従業員エンゲージメントが低い場合に考えられる原因

ここからは、エンゲージメントが低い企業に見られる特徴を踏まえた上で、なぜ一部の企業で従業員エンゲージメントの低下が起こってしまうのか、その理由について探っていきましょう。

従業員のエンゲージメントが低下してしまう原因としては、主に以下の4つが考えられます。

1. 経営陣がエンゲージメントの向上に十分に取り組めていない

後述するようなエンゲージメント向上のための施策は、経営陣主導のもと、長い時間をかけてPDCAサイクルを回して実践していかなければなりません。

しかし、肝心の経営陣がエンゲージメント向上の重要性を理解していない、または実行の優先順位を低く設定しているために社員への重要性の周知や施策への注力が十分にできておらず、従業員エンゲージメントが低い状態が続くことがあるのです。

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2. 一人ひとりの従業員への業務負担が大きくなり過ぎている

先述したような長時間の残業や休日出勤、過剰なノルマが課されるような状況が常態化している場合は、一人ひとりの従業員にかかる業務負担が大きくなり過ぎていると考えられます。

なお、従業員への過負荷が起こってしまう原因としては、経営陣が現場の実情を無視した無理のある売上ノルマや成長目標、経営計画を設定しているなどが挙げられます。従業員の負担感が減らない、増していく一方では、エンゲージメントが下がるのも当然だと言えるでしょう。

3. 現状の人事評価の制度や基準に不満・懸念がある

「自分の頑張りを、会社が正当に評価してくれている」と感じてもらえなければ、従業員の企業に対する信頼は損なわれてしまいます。

そのため、従業員エンゲージメントが低くなる原因の一つとしては、会社の評価制度やその基準に対して不満がある可能性も考えられるでしょう。

4. 従業員が会社の将来に期待を持てず、不安を感じている

過重ノルマや長時間労働が続くと、職場の人間関係や労働環境も、少しずつ悪化していきます。

やりたい仕事、希望する働き方ができず、ワークライフバランスの維持・改善も難しい状況の中で、会社から現状や今後の方針、見通しといった情報の共有が適切に行われていないと、従業員は自身と組織全体の将来に対して強い不安を感じるようになります。

会社の将来に希望を持てなくなった社員のエンゲージメントは低下し、現状を改善するための選択肢として離職、転職を検討するようになってしまうのです。

エンゲージメントが低い状況を変える!効果的な施策5選

ここからは、エンゲージメント向上の効果が期待できる施策の具体例を5つ紹介していきます。

【従業員エンゲージメントの向上に効果的な施策5選】

  1. エンゲージメントサーベイを実施する
  2. 経営陣からの情報発信を継続的に行う
  3. 管理職のマネジメントスキルを高める
  4. コミュニケーション促進のための仕組みをつくる
  5. キャリアプランや働き方の選択肢を増やす

エンゲージメントが低い状態に悩んでいるものの、どうすれば状況が改善するのかわからないという企業のご担当者様は、ぜひ参考としてご覧ください。

1. エンゲージメントサーベイを実施して自社の課題を可視化する

自社の従業員エンゲージメントを高めるために、企業がまず行うべきことは「現状を正しく把握すること」です。具体的には、従業員に以下のような項目についてアンケートを行うエンゲージメントサーベイを実施し、従業員エンゲージメントのスコア(数値)と自社における課題を把握します。

【エンゲージメントサーベイの調査項目の例】
仕事、業務負荷、職場、上司、人事制度、マネジメント、コンプライアンス など

なお、エンゲージメントサーベイにもさまざまなやり方、設問の設計方法が存在しています。

欧米式の調査方法を採用したものも多いですが、ジョブ型雇用を前提とした欧米型のサーベイでは、メンバーシップ型の雇用を主流とし、年功序列の評価制度も残る日本の企業のエンゲージメントを正しく把握できず、極端にスコアが低くなってしまう傾向があります。

自社でエンゲージメントサーベイを実施する場合は、自社の課題感に合わせた適切な質問設計が可能で、かつ日本型のエンゲージメントを正しく調査できるものを選ぶようにしましょう。

日本型の雇用に対応!JMARの「エンゲージメントサーベイ」の特徴とは?

2. 経営陣からの情報発信を継続的に行う

以下のような項目について経営陣から社員へ積極的かつ継続的に発信を続けることは、従業員の仕事や将来に対する不安を解消し、エンゲージメントを高めていく上で非常に効果的です。

エンゲージメントサーベイの結果(具体的な調査結果や導き出された課題)

自社におけるエンゲージメント向上を目指すなら、まずトップからの情報発信がとても重要であることを理解し、実践してみましょう。

3. 管理職にマネジメントスキルを高める機会を提供する

管理職のマネジメントスキルを高め、組織全体の心理的安全性を高めることも、エンゲージメントの向上に効果的です。

具体的な方法としては、会社としてコーチングスキルの獲得やリーダーシップの向上など、マネジメントに役立つスキルを学べる研修やセミナーを開催し、その上で1on1など、管理職が研修で獲得したスキルを実践できるような人事上の制度や、仕組みを整えることが挙げられます。

4. コミュニケーション促進のための仕組みをつくる

社員同士がしっかりコミュニケーションを取り、強い信頼関係を築くことができれば、人間関係や職場環境がよくなる他、業務フローの改善や労働時間の削減にもつながる可能性があります。

また、社員と経営陣が直接意見交換できる場を設定できれば、現場の実情や社員の感覚に即した納得感の高い人事評価制度を設計したり、組織の心理的安全性を高める上でも役立ちます。

直属の上司や部署内の同僚はもちろん、他部署の社員や経営陣も含め、社内で幅広く横方向・縦方向でコミュニケーションを取ることができる仕組みの導入を検討してみましょう。

5. キャリアプランや働き方の選択肢を増やす

従業員エンゲージメントの高い企業では、従業員の学習や挑戦を支援する環境が整えられていたり、フレックスタイム制や在宅勤務など、柔軟な働き方を推奨しているケースが多いです。

社員の働き方やキャリアへの価値観は、どんどん多様化しています。そのため社員本人が望む形でキャリアを築いていけるように、会社としていかに多様な働き方やキャリアの選択肢を用意することができるかが、従業員エンゲージメントを高める上でも非常に重要になってくるのです。

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「日本型雇用対応のエンゲージメントサーベイ」ならJMAR

人的資本開示が義務化された現代において、人事部門はもちろん、経営の観点においても従業員エンゲージメントを調査して可視化することの重要性が非常に高まってきていると言えます。

JMARでは、海外とは異なりメンバーシップ型の雇用を主流とする日本型の労働慣行を鑑みた「日本型の従業員エンゲージメント」を調査するエンゲージメントサーベイを提供しています。

《JMARのエンゲージメントサーベイ5つの特徴》

※日本語だけでなく、さまざまな言語を用いたグローバル調査にも対応しております。

また、人事・組織領域に精通した経験豊富な研究員が、エンゲージメントサーベイで得られた結果に洞察を加え、データから導き出された課題に対して実効性の高い施策を提言するところまで、しっかりと支援いたします。

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