
2025.12.03

エンゲージメントは、ビジネスシーンにおいて企業とステークホルダー、特に企業と従業員とのつながりや社員の会社に対する愛着、誇り、共感の程度を表す指標として使われています。
近年では、このエンゲージメントが投資先や取引先を選ぶ上での重要な評価基準の一つとなっているため、企業にはエンゲージメントを正しく把握し、改善することが求められるのです。
そこで今回は、25年以上にわたりさまざまな企業にエンゲージメントサーベイを提供してきたJMARが、エンゲージメントサーベイとは何か、実施のメリットや導入の手順、JMARによるエンゲージメントサーベイの特徴と併せて解説していきます。
まずは、エンゲージメントサーベイとは何か、似た印象のある他の調査との違いも含めて確認していきましょう。
エンゲージメントサーベイとは、別名「従業員エンゲージメント調査」とも呼ばれるものです。
具体的には、従業員に数十問の質問項目から成るアンケートに回答してもらい、自社における従業員エンゲージメントをエンゲージメントスコアという形で数値化・可視化していきます。
エンゲージメントサーベイの実施目的は企業によっても異なりますが、どの企業にも共通する目的としては、大きく以下の4点が挙げられるでしょう。
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従業員エンゲージメントを向上させるには、まず第一に現状を正しく把握する必要があります。
エンゲージメントサーベイは、自社におけるエンゲージメントの現状をきちんと把握すること、そしてその原因である課題の特定や、状況を改善するための施策・計画を考えていく上で不可欠なものだと理解しておくことが大切です。
従業員の企業への想いや、満足度を調べる調査には、エンゲージメントサーベイの他にも「従業員満足度調査」や「パルスサーベイ」がありますが、これら3つの調査は似て非なるものです。
まず従業員満足度調査は、主に待遇面や労働環境、労働条件に関する従業員の一方的な満足度を調査するものです。そのため、従業員の会社への愛着や誇り、組織との相互の信頼関係の程度を測るエンゲージメントサーベイとは、一部の調査項目や調査の目的が異なってきます。
一方でパルスサーベイは、エンゲージメントサーベイと同じく従業員エンゲージメントを測定するための調査ではありますが、実施スパンや目的、一般的な質問数には違いがあります。
パルスサーベイとエンゲージメントサーベイの違いについては、以下の一覧にまとめましたので、ひと通りご確認ください。
| パルスサーベイ | エンゲージメントサーベイ | |
|---|---|---|
| 実施スパン | ・1週間~1か月に1回くらいの間隔で実施することが多い | ・半年~1年に1回くらいの間隔で実施することが多い |
| 実施目的 | ・従業員エンゲージメントの変化をタイムリーに把握するため ・今、現場で起きている問題や課題を迅速に把握するため ・実行中の施策に関する短期間での効果を測定するため |
・中長期的な人事施策や経営戦略を立てるため ・実行中の施策の効果測定のため ・職場単位でエンゲージメントや職場の環境を改善するため |
| 一般的な質問数 | ・5~10問程度の少ない質問 | ・数十問単位で質問を設計 |
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エンゲージメントサーベイとは何かを理解できたら、次は、エンゲージメントサーベイを実施することで得られる具体的な効果やメリット、デメリットについて確認していきましょう。
エンゲージメントサーベイを行うことのメリット・デメリットは、それぞれ以下の通りです。
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エンゲージメントサーベイを実施し、その調査結果を人事戦略や経営戦略に反映させたり、エンゲージメント向上のための施策づくりに活かすことができれば、上記のような多くのメリットを得ることができるでしょう。
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ひと口にエンゲージメントサーベイといっても、そのやり方や質問の項目はさまざまです。
自社に合った委託先やエンゲージメントサーベイの種類を選び、適切に質問を設計するにはある程度の知識と費用、時間が必要となることは、理解しておかなければなりません。
また、エンゲージメントサーベイの所要時間は、後述するJMARのサーベイでも15〜20分ほどですが、現場の状況によっては、アンケートに回答することに従業員が時間的な負担を感じる可能性もあります。
ここからは、自社においてエンゲージメントサーベイを導入・実施する際の具体的な手順について、JMARのエンゲージメントサーベイを利用する場合を例に説明していきます。
JMARのエンゲージメントサーベイの導入決定から、自社における調査の実施、最終的な調査結果の報告を受け取っていただくまでの基本的な流れは、以下の通りです。
| 【ステップ1】全体企画 | ・調査目的の確認 ・対象者の検討 ・調査フレーム策定 ・進め方の確認 |
|---|---|
| 【ステップ2】設問設計 | ・JMARの標準診断フレームをベースに設計 ・分析視点の確認、及び活用イメージの共有 ・実査準備 |
| 【ステップ3】調査実施 | ・エンゲージメントサーベイの実施 ・回収状況の確認、回答の催促(必要に応じて) |
| 【ステップ4】結果分析・まとめ | ・全体俯瞰と詳細の分析 ・優先課題の抽出 ・原因の考察 |
| 【ステップ5】報告 | ・事務局担当者とのディスカッション |
| 【ステップ6】フィードバック | ・組織別フィードバック資料の作成 ・組織別に結果のご報告 ・対策の計画立案支援 |
エンゲージメントサーベイは、従業員エンゲージメントを把握するための手段にすぎません。
先述したようなエンゲージメントサーベイによる効果、メリットを最大化するには、以下のポイントを踏まえて質問の設計、調査、結果の分析に取り組むことが大切になってきます。
最後に、JMARがご提供するエンゲージメントサーベイの概要について、紹介していきます。
JMARこと株式会社日本能率協会総合研究所では、25年以上前から民間企業を中心にさまざまな業種・規模の会社で従業員意識調査や従業員満足度調査を実施。時代とともにこれらの調査がエンゲージメントサーベイに移行したことを受けて、弊社でもサーベイの提供を開始しました。
しかし、ジョブホッピングの慣習があることを前提とした欧米型のエンゲージメントサーベイを日本で実施すると、極端にエンゲージメントスコアが低くなったり、質問内容が自社の状況にフィットしない、結果を課題解決につなげられないといったケースが少なからず発生します。
これを受けて、JMARでは2023年にエンゲージメントサーベイの構成や質問をリニューアル。
以下の7つのカテゴリについて質問を設計し、現状の従業員エンゲージメントと、今後よりエンゲージメントを高めていくためのマネジメント課題を明確にする構成としています。

また長期間の雇用を前提としたメンバーシップ型で、年功序列も残る日本型の雇用慣行に合わせて「従業員エンゲージメント」を改めて定義づけし、回答結果で社員を以下の4つの層に分類。

日本型の雇用に対応!JMARの「エンゲージメントサーベイ」の特徴とは?
会社への誇りと仕事へのやりがいの両方を感じている層だけをエンゲージメント層と定義することで、日本企業におけるエンゲージメントスコアをより正確に把握できるように、またエンゲージメントを高めるために解決するべき課題や、施策を明確化しやすい内容にしています。
エンゲージメントサーベイを実施する企業の中には、サーベイを行うこと事態が目的化したり、調査結果を課題の解決や施策の立案に十分に活用できていないところも少なくありません。
JMARでは、ただ調査を実施するだけではなく、調査結果から自社のどの層に課題があるのか、何をすればエンゲージメントが高まるのかといったところまで分析し、具体的なフィードバックや施策の提言をするところまで、しっかりと伴走支援をさせていただきます。
自社の従業員エンゲージメントの低さに悩んでいたり、エンゲージメントサーベイで自社の現状を把握したいとお考えの企業のご担当者様は、ぜひ一度、お気軽にJMARまでご相談ください。

人的資本開示が義務化された現代において、人事部門はもちろん、経営の観点においても従業員エンゲージメントを調査して可視化することの重要性が非常に高まってきていると言えます。
JMARでは、海外とは異なりメンバーシップ型の雇用を主流とする日本型の労働慣行を鑑みた「日本型の従業員エンゲージメント」を調査するエンゲージメントサーベイを提供しています。
《JMARのエンゲージメントサーベイ5つの特徴》
※日本語だけでなく、さまざまな言語を用いたグローバル調査にも対応しております。
また、人事・組織領域に精通した経験豊富な研究員が、エンゲージメントサーベイで得られた結果に洞察を加え、データから導き出された課題に対して実効性の高い施策を提言するところまで、しっかりと支援いたします。
エンゲージメント強化や人的資本経営に関する悩みを抱えていて、調査から結果の分析、具体的な施策の提案までしてくれるパートナーをお探しのご担当者様は、ぜひJMARまでお問合せください!
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