2022.02.18
先日、部下を持つ主任層を対象とした研修のあり方について、某メーカーの人事部の方と話を
する機会がありました。
”心の働き具合い”や”心の利き手”が分かる「心理診断」をどのように部下マネジメントに
活かすか、というのが争点の1つでした。自己理解が深まれば、部下とのコミュニケーション
が上手くいくのではないか、という趣旨から心理診断に着目しました。
具体的には、心理診断の結果、上司と部下が異なる特徴を持つ場合、どのように対応すべきか、
どのように折り合いをつけるかという点で議論がありました。
心理のプロフェッショナルの答えは、こうでした。
「相手を変えることはできない、できるのは相手を受け入れることだけ。
自分の考えと異なっても、まず、受け入れる。受容する。
その上で、相手にフィットしたストロークを与えること。」
「相手にフィットしたストローク」を私なりに解釈を加えると、「相手の心を動かすツボを知り、
それを刺激すること」です。
「相手を褒めること」も1つでしょう。管理職研修で、「相手をとにかく褒める」ワークをやって
みると、なかなか言葉が出てこなく、苦労している方が多くいます。日本人は褒め言葉のボキャブ
ラリーが少ないのかもしれません。
最近、「褒めるマネジメント」が重要という話も多いですが、部下を褒めて持ち上げること
だけが、部下の心を動かすことにはならないでしょう。
心理学者から聞いた話では、部下の望ましい行動を増やすためには、「部下の良い面に目を向けて
強化する」こと重要だとか。それが”プラスのストローク”になるわけですが、必ずしも、「褒め
る」ことだけではないそうです。相手が乗ってくる話をしてあげる、好きな食べ物をプレゼントす
る、そんなちょっとした働きかけが、相手の心を動かすことにつながるそうです。
しかし、ちょっとした働きかけのためには、相手が望むこと、喜ぶことを知らないとできません。
部下をお持ちの方は、部下を観察することから始めてみてはいかがでしょうか。相手のツボを理解
できれば、そこを時々刺激してあげることができます。使い慣れない褒め言葉を使うより簡単に、
部下の気持ちを前向きにすることができるかもしれません。
(馬場 裕子)
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