日本能率協会総合研究所 マネジメント&マーケティング研究事業本部

コラム
調査が浪費で終わる5つの原因②
5つの原因がどんな現象をもたらすか

2021.11.17

深代 達也

(株)日本能率協会総合研究所 組織・人材戦略研究部 部長/(株)ジーニアル・ライト社外取締役/JMA エンゲージメントマネジメント入門セミナー、チームビルディング入門セミナー 担当講師/元ASTD Japan 組織開発委員会委員/米国NLP協会認定トレーナー/DiSC公認インストラクター/Ocapiプラクティショナー/REMO社HealthRhythmsファシリテーター&HealthRhythms Adolescent Protocolファシリテーター/ビート オブ サクセス “トレーニング・ビート”認定トレーナー/ドラムサークルファシリテーター協会会員

20年以上にわたり組織開発・人材開発の指導・研修等を推進。現在は、従業員エンゲージメント調査・コンプライアンス調査・取引先調査・取締役会実効性評価などのサーベイに立脚した、非財務指標(KPI)の視える化支援、エンプロイーサクセスの視点からのエンゲージメント向上支援などに取り組む。
また企業のイノベーション力に関する研究に従事するとともに、2020年に光センサー関連のベンチャー投資を推進。社外取締役を務めるとともに、ドライバーモニタリングの実証実験など、働く人の安全に貢献する新規事業も推進している。

【著書および執筆】
「KAIKAする経営」 (日本能率協会 共著)
「“組織開発”の手引き」(日本能率協会 共著)
『メンバーの潜在能力を引き出す「高度なチーム」の運営とは』(薬業時報)
『高度なチーム運営の第一歩はメンバー同士が相手を知ること』(薬業時報)
『チームの質を高めるために「コンフリクト」を活かす』(薬業時報)
『「振り返りトーク」でチームの成長を促進させよう』(薬業時報)
「病院価値を高めるバランスト・スコアカード」(メディカルパブリケーションズ 共著)
「オープンイノベーションが“新たな”未来を創る」(good.book 黒田達郎&深代達也) 他

2.5つの原因がどんな現象をもたらすか

これらの5つの原因が、どのような現象をもたらすか?少し説明していきましょう。

調査が浪費で終わる要因

1)調査の企画ミス

「調査の企画ミス」とは、誰に、いつ、どのように、どんな質問をするか、といった点のミスとなります。企画の段階で、調査の位置づけを明確にし、仮説をもって設計しておかないと、「うちはパートさんが多いのでパートさんにも聞けば、より課題が明確になったのに・・」とか、「コンプライアンスの設問を入れておけば、現場のカルチャーがより捉えられたのに・・」など、後のステップにつなぐための判断材業が十分得られずに、調査を活用した改善や組織開発の活動が失速してしまうリスクがあります。

2)結果の分析不足

「結果の分析不足」とは、真の課題を突き止めるために、どのような分析をするかといった点が不足していることです。こちらも企画の段階で、調査の位置づけを明確にし、仮説をもって、どのような分析が必要となるかを想定しておかないと、表面的な課題が列挙されるだけで、真の課題への深堀ができず、「エンゲージメントが低い原因を、実は現場管理者が真の課題であるにもかかわらず、TOPの問題と捉えてしまった」等の現象が発生してしまいます。こうした分析不足が発生すると、真の課題への対策ができず、逆に余計な仕事が増えることにもなり、従業員の疲弊にもつながります。こちらも改善や組織開発の活動が失速してしまうリスクがあります。

3)冗長な調査レポート

「冗長な調査レポート」とは、ページ数ばかりが多く、勘どころや次への課題が整理されていない調査結果レポートです。最近はBIツールなど、事務局や各現場上長が、自分の部署の結果を色々な角度から迅速に把握するツールも豊富になってきました。しかし一方で、作業が増えるだけで、「要は何が問題なの?」という現場の問いに分かりやすく課題を視える化していけないと、真の問題が共有できず、本当に必要な打ち手が打てなくなるリスクがあります。大量のデータの海に溺れてしまい、「木を見て森を見ず」という状況に陥る危険性もあるということです。

4)報告を受ける側の問題意識不足

従業員調査では、経営報告会や部門長への報告会などを開催し、全社として何が真の課題なのかを共有し、施策を推進していくことが多くなります。こうした中で報告を受ける側である、経営層や部門長の一部が問題意識不足にあると、「会社のために真剣に回答したのに・・・」と考えている意識の高い部下や若手の気持ちもスポイルされ、モチベーション低下やディスエンゲージメントにつながるリスクがあります。

5)調査後のステップが未検討

従業員調査は、調査の結果が出て終わりでなく、そこからが改善・改革のスタートとなります。従って、調査後にどのような体制で、調査結果の課題を引き受けて推進していくかなど、「調査後のステップが未検討」のまま、調査を実施してしまうと、間延びしてなかなか施策につながらないというリスクがあります。調査後にどのような層にフィードバックしていくかを想定しておかないと、1)で述べた調査の企画ミスにも繋がることになります。

こうした浪費現象を避けることが推進事務局の役割ですので、あらかじめ留意して推進していくことが望まれます。

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