2022.02.18
(株)日本能率協会総合研究所 経営・人材戦略研究部 主任研究員
お茶の水女子大学大学院(修士)修了後、2002年4月に入社。
主に、企業のコンプライアンス・ガバナンス推進支援、エンゲージメント向上、ダイバーシティマネジメント等のテーマを得意とする。
昨今では企業の不祥事に関する調査・研究、コンプライアンスをテーマとした講演の他、日本経済新聞をはじめとした全国紙・インターネットニュースへの掲載、TV・ラジオ出演などの実績がある。経営倫理士。
「どんなに先進的な制度を導入しても、
運用が伴わなければ“絵に描いた餅”である」
ということは、人事担当の方とのお打合せでは頻出の話題です。
特に出産・育児に関する制度については、企業のイメージアップや
「とりあえず法律が改訂されたから」と制度導入のみが先行してしまい、
実際社内では制度の存在すら認知されていないという状況も。
各企業で出産・育児に関する制度についてのアンケート調査を
実施してみると、女性の20歳代以下および男性全般で浮き彫りと
なった共通結果は―
“各制度の認知度が低い” ということ。
こうした状況は、
「この会社で自分が出産・子育てをしながら働き続けることができるのか?」
という若手社員の不安を煽る結果にもつながっています。
以前と比べると、出産を経て育児をしながら仕事を続ける女性や、
育児休暇を取得する男性の数は確実に増えてはいます。
しかし、社内では依然としてマイノリティーの存在であるため、
実際にどのような制度を活用して、どのような働き方をしているのか、
ということについては知られていないケースが多いのでは?
今後、社員のキャリアサポートという観点からも、人事担当者は
各制度について「該当者が出たら都度説明する」というスタンスではなく、
「こういう制度があって、実際にこういう使い方をしている人がいる」という
積極的な周知活動や、「こういう問題点があるがどう改善したらよいか」
という社員への問いかけ・意見交換の場を創出するなども必要では?
と感じています。
(前島 裕美)
©2024 JMA Research Institute Inc.