ANA特別インタビュー【2】
「ANA’s Way Survey」について(全5回)


4.調査実施のサイクル・頻度について

過去に、意識調査を年に2回実施された年もありましたが、いかがでしたでしょうか。

ANA年2回実施した年もありましたが、現場からはサイクルは回しきれないといった意見もあり、現在は年1回というサイクルで継続実施しています。
通常、9月、10月に調査を実施し、概ね年内ぐらいを目途に分析を行い、翌年度に向けてアクションプランをまとめていくというスケジュールとなっています。このサイクルは会社の経営と直結させており、年末から年明けにかけて、予算と人員計画が必要になってくるスケジュールに連動させています。この二つは間違いなく毎年会社としてはやらなければならないサイクルということになっており、来年度の計画も意識すると、年1回実施というのが一番適切だと考えています。

一般的な他社のお話になりますが、当社がお付き合いしている会社は大企業が多いので、調査を実施する頻度は、1年に1回実施が一番多くなっています。その一方で、パルスサーベイのように月1回あるいは年4回は測定した方がいいのでは、という意見をお聞きすることもございます。ANA様のように、経営にダイレクトに生かし、確実にPDCAを回していくためには、1カ月あるいは3か月に1回というのは、調査の担当者、各社の担当者にとっても、事務的な負担がかなり大きくなるのではないでしょうか。

ANA当然ではありますが、各部門や各社の担当者は、真剣に調査結果を分析して課題に対する次の打ち手(アクション)を検討しています。ですので、調査結果から、様々な視点で分析を行います。年2回実施した際には、1回目の調査結果については軽い分析として傾向を見る程度、と周知しておりましたが、2回目と同様に深い分析を進めたことで調査に関わる負荷が高まった職場が多くありました。結局、2回実施するメリット・デメリットを考えると、1回の方が良いと判断した、というのが年1回に落ち着いた経緯となります。

とはいえ、短いサイクルで効果測定が必要なときは、社内で簡易サーベイを実施されたと伺いました。

ANA非常に簡易的な調査で実施しましたが、トライアルの年でもあり、部署も限定して実施したため、大きく効果があった、とまでは言える結果ではありませんでした。そのため、改めて年1回のフル・サーベイで施策の効果等を見直す必要があると考えています。

5.意識調査に対する経営トップの関与度・関心

ANA様の経営トップの方々は、他社と比較しましても調査結果への関心度が高い印象です。
年末年始の宿題として、自由回答を全件読んでいるということを伺いまして、件数が膨大ですので、それに全部目を通すというのは本当に素晴らしい取り組みであると思っています。

ANAもともと自由記述は昔から設定しており、それなりの記載もいただいておりましたが、昨今ではテーマを絞ったり、更問いで聞いたりなどいろいろな工夫をしております。また、自由記述に記載する設問には、経営層の意向も反映されています。
今回の調査では、だいたい6万5,000件ぐらいの自由記述がありましたが、それら全てに目を通すことが最近の年末年始の日課、ルーティンになっています。
経営という視点から見ると、テキストマイニングなどを使って整理をする、ということも有効ですが、自由記述に記載されている実際の記述を読んだ方が従業員の気持ちが生の声としてよく伝わり、状況を実感できるという良い面がまだまだあると感じています。
また、統合報告書や有価証券報告書にもサーベイの結果を開示しています。しかし、そこに載せているだけでは意味がありませんので、その達成に向けてサーベイのスコアを役員コミットメントにしています。それをブレークダウンして、部門長や部長、課長といった、いわゆるマネジメント層の社員の個人の評価、またグループ会社においては、グループ会社としての評価にサーベイのスコアを使用しています。

役員報酬の1割くらいがサーベイのスコアで決まると統合報告書に書かれています。そういう意味でも非常に重要な調査になっていますので、調査に回答する社員の方の責任が重大だと思いますが、いかがでしょうか。

ANAやはり役員報酬や評価に使ってしまいますと、回答者が正しい評価をしてくれるのか、というような議論は常にあります。ですが、当社では調査に長い歴史がありますので、そのハードルはすでに越えていると思っています。目標や評価に直結することが回答に影響する、というような状況ではないと思っています。

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