日本M&Aセンター特別インタビュー【2】「伴走型」エンゲージメントサーベイ
データを超えた本質的な組織変革への取り組み!(全6回)


4.第三者視点のフィードバックが経営層に与えた影響

トップ層の方々には、やや厳しめのフィードバックも含めてお伝えしましたが、前向きに受け止めていただけましたか?

日本M&Aセンターそうですね。ただ、今回の報告では粒度を大きめにしている部分もあるので、細かく見ると課題はまだ多くあります。その点は今後、より深掘りしていく必要があります。ただ、経営報告で伝えたメッセージは確実に響いており、ちょうど1月に全社1000人規模で開催した新年研修でも、社長自らがサーベイの結果をもとにスライドを用意し、発信してくださいました。
スコアの具体的な数値を発表する形ではありませんでしたが、社長がしっかりと結果を見ていることは社員にも伝わったと思います。
今回のサーベイでは属性ごとの分類が多岐にわたっています。例えば、当社ではダイバーシティ推進(D&I)に取り組んでおり、男女間の差異に関するデータを抜粋して関係者に共有するといった活用をしています。部署ごとの課題に応じてデータを使い分けながら、現在、さまざまな活用が進んでいる状況です。
ただ、すべてのデータをフル活用できているかというと、まだ難しい部分もあります。
ですので、必要な情報を抽出し、それぞれの部署に展開する形で進めています。ちょうど昨日、各部門のデータ展開を行いました。とはいえ、まだ「いつまでに何を実行すべきか」といった具体的な指示は出していません。まずは、組織の結果を受け止めてもらう段階ですね。

これまではPDCAサイクルを回しながらエンゲージメント向上に取り組んでいたわけではないと思うので、いきなり目標を決めて施策を進めるのは難しいですよね。

日本M&Aセンターそうですね。ですので、まずは温度感を知ってもらうことを優先しています。全体のスコアと自部署の結果を比較することで、「こういう点が課題だな」といった感想を持つ社員も出てきており、いくつかフィードバックも返ってきています。

5.60万社の黒字廃業を救う「自律自走するプロフェッショナル集団」を目指して

企業によってエンゲージメントの定義はさまざまですが、弊社では「やりがい」と「誇り」という2つの要素を重視しています。御社では、エンゲージメントについて何か明確な定義を設けていますか?

日本M&Aセンター現時点では、「エンゲージメント=◯◯」といった具体的な定義はありません。ただ、直近の統合報告書では、「自律自走するプロフェッショナル集団を目指す」というメッセージを発信しています。従業員がのびのびと働ける環境を整えることが、大前提として必要だと考えています。

「自律自走」ですね。

日本M&Aセンターそうです。「自律」は自分を律すること、「自走」は自ら走ることを意味し、プロフェッショナルとして自律した働き方を確立していくという考え方です。今後は、そうしたプロフェッショナル人材のやりがいや働き方を、より具体的に創造していくフェーズに入っていきます。

他社と比較しても、御社は「プロフェッショナル意識」が強い社員が多い印象があります。一方で、キャリアに関して不満を感じている層も一定数いるようです。一定数の退職者はやむを得ないとするお話もありましたが、人事としてはこの点をどのように捉えていますか?

日本M&Aセンター一定の人の循環は必要だと考えています。よりプロフェッショナルな集団を目指す上で、会社の求めるレベルにフィットしない方の離脱は、ある程度やむを得ない部分もあります。もちろん、具体的な離脱率の目標を定めているわけではありませんが、優秀な人材を採用し、活躍してもらうことで、より良いサイクルを生み出すことが重要だと考えています。
当社の事業モデルは、「60万社の黒字廃業を救う」という社会貢献度の高いものなので、その点に関しては、どの層でも満足度が高い傾向にあります。ただ、やはり働き方や処遇のバランスについては、まだ完全に整っているとは言えません。そこが今後の課題になると思います。

6.経年比較と他社比較のデータ活用、コンプライアンスの状態もモニタリング

今回のエンゲージメントサーベイでは、経年比較と他社比較を両立できるよう項目を策定しました。ただ、経年比較に関しては変更点もあり、やや難しい部分もあったのですが、御社では経年データと他社データの両方をどのように活用されていますか?

日本M&Aセンターそうですね。経年データは特定のテーマに絞って見ています。特にコンプライアンスの部分は重要視しており、経営層にも開示し、モニタリングを継続しています。不祥事後の対応のアクションプランとして、コンプライアンスの推移を追うことは欠かせません。
ただ、それ以外の項目については、今後の継続調査を通じて、数値の変化を追っていくことになると思います。過去の不祥事を受け、大規模な人事の入れ替えがあり、現在のコンサルタント部門の約半数が入社2~3年目の社員です。こうした新しいメンバーのエンゲージメントがどのように推移するのかは、人事として注視していくポイントですね。

今回、経年比較の項目や選択肢を一部変更したため、明確に「この数値がこう変わった」と断言しづらい部分もありました。ですが、次回は、変化がより明確に示され、インパクトのある結果を提供できるかと思います。
また、他社比較では、御社のスコアが全体的に高い傾向にありました。特にコンプライアンスに関する項目はやや低かったものの、それ以外の点では優れた結果が出ていました。事前に、御社としては他社と比較してどのような結果になると予想されていましたか?

日本M&Aセンター一般的にエンゲージメントを測る際、「やりがい」と「働きやすさ」という2つの軸があります。当社は「やりがい」については高く出るだろうと予想していました。一方で、「働きやすさ」については低く出るのではないかと思っていました。

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